2008/04 キルナ (ICE HOTEL)

キルナへの憧れ

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「キルナ」「ナルヴィーク」「トロムソ」「レイキャビック」などの北欧でも特に北に位置する地名には、独特な憧れみたいなものをずっと抱き続けてきたような気がします。オーロラを見ることができるというのは、自分が小さな頃から星に特別な興味を持っていたこともあって、もちろんその理由の一つではあるけれど、それだけでは無い気がします。北海道の一部の地域と同じように、なぜか極寒の地に不思議な魅力を感じてしまう自分。その中でキルナは、サーメの人たちが生活をし ICE HOTEL / ICE BAR があり、でっかい鉄鉱山がある北極圏の極寒の地というイメージ。スウェーデンにいる間に一度は訪れてみたいと思っていた場所の一つです。

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ICE HOTEL は、どうせ行くなら見学だけでなくぜひ泊まってみたいと思っていた。何もかも氷でできた幻想的な美しい部屋の中で、そしてその寒さの中で何を思いながら寝ることになるんだろうと思うと、わくわくしません?そもそも零下の世界でまどろむことなんてできるのかなぁと思ったりも。また、もうすぐ溶けて無くなってしまい 2度同じものを見ることができなくなるというのも、そこに泊まってみたいと思わせる強烈な理由な気がする(ちなみに、自分が泊まったのは今シーズンの最終営業 4/19-4/20 の前日でした)。

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さてさて、ここ ICE HOTEL は犬ぞりやスノーモービル、スキー等の冬のアクティビティが充実しているというのも魅力。この時期であれば、真冬のように 零下30度などという猛烈な寒さに見舞われることも無いので(笑)、そういった遊びをお気軽に楽しむことができるというのも結構大きい要素。

キルナへ、ICE HOTEL へ

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いざ出発とコペンハーゲンの空港で手続きをしていたらイヤなことを言われた。「スウェーデンの国内便への乗り換えでは荷物を一度受け取って税関を通らなきゃダメよ」。一瞬「国内じゃん、なんで?」と思ったのだけれど、考えてみたらココはデンマーク。防寒着などで荷物が増えていたとはいえ、やっぱりバックパックに詰めちゃえば良かったと後悔…というのも乗り換えの時間が 1時間しかなかったから。案の定飛行機は遅れて、ストックホルムの空港で走り回るハメに…

ともあれキルナ行きの飛行機には無事になんとか。ストックホルムを離陸してしばらくすると眼下には「真っ白な墨」を流したような不思議な光景が広がる。川も湖も凍っていてそこに雪が積もっているからそんな風に見えるのかも。向こうにはノルウェーとの国境をなすと思われる真っ白な山々が見える素晴らしい景色。キルナの空港は地方の小さな空港って感じで、小さな赤い建物は雪の白と青い空に映えてなかなかかわいらしい感じ。思ったよりも寒くない。

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建物に入ると、ICE HOTEL の出迎えの人がいてバスに案内してくれた。ICE HOTEL のあるユッカスヤルビまでは 15分ほどだそう。道中キルナという街についての説明や、オーロラ観測所の話なんかがあって興味深く聞いていたらあっという間にホテルに到着。綺麗に澄んだブルーの氷で作られた玄関を見たとき、あぁ遠くまで来たなぁという実感がして、ちょっと感動。

ICE HOTEL のあれこれ

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今年で 18度目のシーズンとなる ICE HOTEL。ココに使われる氷はすぐ裏を流れる Torne River から切り出しているのだけれど、実はいま使われている氷は「一昨年」のもの。使用される氷は 1.5メートルほどの厚さが必要なため、それだけの厚みがある氷をシーズンインの前に確保することができない(11月ごろでは氷がそれほど成長しない)というのが理由。ICE HOTEL の隣には大きな「冷蔵庫」があって一年を通して -5度程度の温度に保たれていて、白く濁ったりひびなどが入らないようにして翌年に使用する氷を保存しているのだそう。

ICE HOTEL の壁などは「snice」と呼ばれるちょうど「雪と氷の中間」みたいなもので作られています。「溶けたときに崩れない」というのがコレを用いる最も大きな理由なのだそう。具体的に言うと、暖かくなってくると天井に小さな穴が開きそこから少しずつ溶けてなくなっていくのだとか(3枚目の写真)。

ICE HOTEL には教会が併設されていて結婚式を挙げることができます。世界中の人がやってきて結婚式を挙げることができるようにと「宗教的シンボル」が極力排除されているのが特徴。それでも、教会の入り口に小さな十字架があるのは、この教会が近くにあるユッケスヤルビ教会に属するからなのだそう。毎年建て替えられるため、ここで式を挙げる人たちにとっては「自分達の記憶の中にしか残らない教会」で結婚を誓うというなかなかロマンチックな教会でもあります。

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ICE HOTEL はいくつかの建物からなっていて、なかなか素敵なデザインの椅子や家具が置かれているメインレセプションに、寒い氷の部屋はダメって人用の「Warm Accomodation」となっていると思われるコテージ群、そして何もかも氷でできた部屋や ICE BAR からなる氷のメインビルディングなどなど。「Cold Accomodation」と呼ばれる氷の部屋に宿泊する人には、氷のメインビルディングの隣にある建物の中に大きめなロッカーが割り当てられていてココに荷物などを全て置くことになっています。寒さのせいだけではなく、氷の部屋に「鍵」が無いというのも大きい理由かも。

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「Cold Accomodation」にはいくつかの種類があって、Ice Room と呼ばれる通常の部屋(この一つ上の段の右端の写真)に、Design Suite と呼ばれる氷の彫刻などでデザインされた部屋、Art Suite と呼ばれる公募したデザイナーによるデザインが施された部屋があります。写真は Design Suite の部屋の中から綺麗だなぁと思ったものの写真で、左から「Chess」「Skate」「Recycle」「Sticks」。

Art Suite 向けには、毎年夏ごろに次のシーズンの部屋のデザインを公募する(もちろん、やろうと思えば僕らも応募できます)。今年は 20部屋の「Art Suite」があり、1部屋を完成させるのに平均 2週間ほどの期間を要するのだそう。シーズンが終わり溶けてなくなるときには、氷を切り出した時と同じコンディションで川に戻すということが大切なことなので、色を使ったりはできず、基本は彫刻とライティングのみのデザイン。ホテルがオープンした後もこれらの「建設」は継続して行われていて、大体ホテルが完成するのは年初になることが多いのだそう。

併設された ICE BAR は世界中に「支店」があるが、それら世界中の ICE BAR にはココから半年に一度くらいの頻度で氷が送られているのだそう。「冷蔵庫」のようになっているとはいえ、人が触ったり座ったりすることで少しずつ溶けてしまうからで、また新しいデザインにするためにも必要になるのだとか。

Art Suite

先にも書いたように、今年は 20部屋が公募のデザイナーたちによって作られていて、そのうち 2つは日本人デザイナーによって作成されていました。氷や「snice」などの特殊な素材を相手にした作業なため、24時間こもりっきりで作業をするデザイナーや、最初のうちは全くどうしていいか困り果てるデザイナーなどいるそうで、建設中のネタにも尽きないようです。

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  • Tango by Lele Trabb and Laura Marcos
  • Coming out by Maurizio Perron
  • Snow Aurora Borealis by Kestutis Musteikis and Vytautas Musteikis
  • Crystallization by Patrick Dallard
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  • Sunny Place by Shingo Saito and Natsuki Munakata
  • Hoffman the Square by Ake Larsson
  • Water Globe - Den bla planeten by Olle Magnusson and Svenerik Jakobsson
  • Yin/Yang - The Cycle of the Seasons by Do Delaunay
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  • The Source by Ulrika Tallving
  • The Forest Suite by Andrea Thomson
  • City Movers by Benny Ekman
  • Taonga by Roger Thompson
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  • The Maori by Markus Hall and Mats Indseth
  • The Banished Dragon by Valli Schafer and Barra Cassidy
  • Dream’s Room by Viktor Tsarski and Liliya Pobornikova
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  • TSU-KI A-KA-RI by Sakai Hiroyoshi
  • Operation Blade by Ben Rousseau and Jai Drew
  • Meander by Lars Holm and David Andren
  • Northern Light by Alexander Bach and Sandra Uhlitzsch
  • Leaf by Niggle by Cui Wei and Yi Du
  • NORTHERN LIGHTS TOUR

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    スウェーデンの南の端にあるマルメですら夜9時過ぎでも結構明るい最近なので、既にオーロラ(NORTHERN LIGHTS)の観測が厳しい時期であることはわかってはいるけれど、一度は見てみたいというのとスノーモービルで夜の静かな世界を疾走するのも面白そうというのでツアーに申し込んでいたのでした。が、案の定というか、この時期に申し込む物好きは自分一人だったようで前日に「キャンセルされる可能性がある」旨を伝えられていたのでした。天気予報が「雪」を予報していたこともあって、半分諦めていたのですが…

    当日 ICE HOTEL のアクティビティデスクに状況を確認すると今日申し込んだ人がいるとのこと、しかも夜になるつれて雲が無くなりつつあって、コレは相当運が向いてきたかもとひそかに期待しまくりな出発前。いかにもな「もじゃもじゃ髭」のおじさんがスノーモービルの操作方法を教えてくれた後、まだまだ明るい 21:00 前にいざ出発。他の参加者は、アメリカからやってきた新婚さん(新婚旅行中)とドイツからやってきたパイロットの人たち。

    湖のように広く幅がある Torne River の上やまだ雪深い林の中をスノーモービルで疾走するのは実に気持ちよいけれど、慣れていないせいか身体のいたるところに力が入っているようで腕や脚にかなり疲れがたまる感じ。ところどころで休憩がてら止まっては美しい自然を見ながら、髭もじゃのおじさんがいろいろと話をしてくれる。この雄大な自然を愛してやまないんだろうなぁというのが伝わってくる感じ。

    ようやく暗くなってきた深夜、森の中の小さな小屋に入って火を焚いて軽く食事。暗くて良くわからなかったけど、出された熱々のスープがものすごく美味しかった。ここでオーロラのあれこれなど、いろいろとおしゃべりをしながら時を過ごす。パイロットの人たちは、やはり飛行機に乗っているときに見ることがあるようで、飛行機の前後をゆらゆらと揺らめくオーロラを何度か目撃しているのだとか。まぁ、結局オーロラを見ることはできず、綺麗な月明かりの中帰路につきました。空気が澄み渡っているためか空が深く澄んだ青い色のまま暗くなっていく様は実に美しく、それはそれで脳裏に焼きついてこのツアーに参加してよかったなぁと。

    DOG SLED TOUR

    トナカイのそりに乗ったり、サーメの人たちの食事を体験してサーメの文化に触れるというツアーに申し込んでいたのだけれど、こちらは催行人数に達することなく残念ながらキャンセル。というわけで、代わりに犬ぞりのツアーに参加してみました。

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    Torne River の上で待つ犬達に思わず興奮する子供、犬達の方も早く出発したいのか落ち着き無く吠えたり駆け出そうとしたりしてます。そりの後ろの方に重い人が乗って、そりの上に足を乗せてねなどの注意事項を一通り教えてもらったら、早速みんながそりに乗って出発準備完了(笑)。

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    犬達は実に力強くそりを引っ張って行きます、林の中もだだっ広い Torne River の上も全く迷う気配も無くどんどん進んでいくのはちょっと不思議な感じがします。後ろから特に声を使って犬達に命令する気配は無いので、何か紐などを使って方向やスピードを指示しているのか、あるいは先頭に立つ犬達がそれなりに賢く教育されているのか、それともその両方なのか…。でも、ちょっと微笑ましいのは途中でおトイレをしようとする犬が他の犬達に引きずられちゃったり、のどが渇くのか身体を冷やすためなのか、走りながら雪を食べようとする犬がいたり。

    ICE HOTEL があるユッカスヤルビは人口 1000人程度なのに対して、それ以上の犬達が暮らしているのだそうで、犬ぞり用の犬達は生まれて半年くらいから訓練を受け始め、大体10歳くらいで引退するのだそう。隣同士で走る犬や先頭に立つ犬は教育などを通して相性や性格を見分けながら決めていくみたい。こうやって人を乗せて走るときは、大体時速 15キロくらいで走るのだけれど、人を乗せず荷も限りなく少なくすると 40キロ位で走ることもできるのだとか。

    自分達の犬ぞりを操作していた女性は、ヨーテボリの方からコチラにきて偶然犬ぞりに携わることになり、それが今や仕事になっちゃったんだと話していたけれど、こうやって自然と犬達と接して暮らすことに満足しているようで、「何が起こるかわからないわ」なんて話していたのが印象的でした。

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    さて休憩。自分達のそりを先頭で引っ張ってくれていた彼はなかなか鋭い目つきが印象的。一方でだらんと休んじゃう犬もいたりして、こういうの犬でも性格でるなぁと思わず笑ってしまう。一方で人間の方はというとコチラも面白くて、大人たちはさっさと火を囲んで珈琲と甘いケーキで談笑しているのに対して、子供はというと犬達と一緒。

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    ところで、休憩時の座る場所にも ICE HOTEL のベッドの上にもトナカイの毛皮が使われているのだけれど、冷気を遮断するのでホントに暖かく、かつそれほど硬い毛ではないので心地よい。ただ一つ難と言えば「獣臭い」ことくらい。外で使うのにはもってこいだなぁと、お土産に買っちゃおうかと迷った品。そしてこの木のカップ、ハンドメイドのようで柔らかい手触りにその形のかわいらしさに、ちょっと驚くような値段だったけど 2つお土産に買ってしまいました。このカップを買うときカップの名前を聞いたら、お店のおばちゃんが「こうやってこすって香りを嗅いでごらん」というのでやってみると、ほんのりと何かの香りがする。それがなんだか良くわからなくて「香りはするけど…」と首を傾げていたら「珈琲だよ」と教えてくれた。なるほど、確かに言われてみるとという感じだ。どうやら表面の保護と香りのために珈琲を使って磨きあげているようです。

    ICE BAR にて

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    ICE BAR を覗いたらなんだか人だらけ、くつろげる「氷のソファー」がある場所は人は誰もいないというのに…。おじさんたちは、どうやらひたすら飲んでいるようだ。「写真撮っていい?」と聞くとポーズを取ってくれた。さて、このおじさんたち一通り飲み終えると何を思ったか突然氷のグラスを氷の壁に向かって投げつけて氷のグラスを割っている。ほとんど誰もが決まったことのようにやっていたので、そういうものなのかな?壁がカクテルの色で汚くなりそうな気もするんだけど…

    ICE HOTEL に宿泊する

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    宿泊するとなると案外気になる細部。一枚目の写真は ICE HOTEL の氷でできた建物の案内で意外とたくさんの部屋があるのにまずビックリ。メインエントランスを入ると Reception がありその左側に ICE BAR がある。「宿泊棟」とでもいう場所に入るとたくさんの氷でできた顔の彫刻が並ぶ長い廊下があって、向こう側が澄んだ青緑色に輝いていてなんとも美しい。各部屋にある彫刻も含めて、多くの人が触って「溶けて」しまった部分は補修でもしたのだろうかとちょっと気になったりしました。

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    教会はこれらとは別に立てられていて、外部から透明の氷を通して光を取り入れることで、透明なステンドグラスとでも言うような感じ。氷の内部にドリルなどで穴を開けて雪を詰めて模様を入れた柱もまた印象的な美しさ。宗教的なシンボルは無いものの、天井にも美しい模様が施されていて、カラフルなフレスコ画などとはまた違った美しさと全体としてのバランスが取れた美しい空間。

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    メインの廊下から、各部屋へ繋がる廊下へは部屋番号が記されたプレートがあり、その狭い入り口の向こうに何があるんだろうと期待させてくれます。昼間はこうやって見学に来た人たちで賑わい、子供達が走り回る廊下も、夜になると驚くほどの静寂に包まれます。その静寂のせいで、壁に施された鳥の模様や、部屋にある彫刻たちが動き出すんじゃないかと感じる不思議な気分になります。

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    自分が泊まったのは 303 号室 Coming Out というイタリア人がデザインした部屋でした。氷のベッドの上には 10センチくらいのマットレスが敷いてあってその上に冷気を遮断するトナカイの毛皮があり、その上で寝袋に包まって寝ます(寝袋は寝る前に渡してもらいます)。厚着をすると寝苦しそうだったので、いわゆる保温効果の高い下着と靴下も履いてその上に普通にパジャマを着て寝袋に入る感じ。これでこの日は十分でした(ちなみに、ICE HOTEL の中は外部気温に関係なく -5度前後になるみたい)。横になると、にょきにょきと足元から氷の彫刻がはえているように見えて妙な感じではありましたが、スノーモービルの運転で疲れていたのかあっという間に寝てしまいました(笑)。朝起きてから、獣の臭いが結構あることに気づいて良くここでぐーすか寝てたなぁと思わず苦笑。

    ユッカスヤルビの街

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    この街は、(おそらく)サーメの人たちがココに住み始めて 400年くらい経つまだまだ新しい街。小さくてかわいらしい教会が街外れにあって、きちんと図書館もあったりします。街中で見つけたかわいらしいポスト。この赤い色は教会や家の壁にも使われていたりして、雪で真っ白な中で結構際立っていい感じです。

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    道案内にあるように、ココには衛星基地があるようで、世界でも数少ない軍事利用ではないものなのだそうです。凍った Torne River の上には雪が積もっていてそのまま歩けそうなんですが、案外雪が深くてずぼずぼと足がはまってしまい遊ぶのは断念。その代わり、右の写真みたいなそりを使ってすいすい進むことができて楽しかったりします。

    キルナの街

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    キルナはスウェーデンの中で、ある程度の大きさの行政単位としてはおそらく最北にある街だと思う。そしてまた鉄鉱を中心とした産業によってできた比較的新しい街だとも言えるでしょう。街の南側にはその鉱山が広がり、建物の多くも新しいということもあって、今までスウェーデン(それもスコーネ地方)で見てきた街とはかなり様相が違う感じがします。市庁舎は時計台のデザインが凝った建物で、中もなかなか立派。

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    まだ雪がかなり多く残っていてかなり寒い街をフラフラと散歩していたらふと駅を見てみたくなりました。抜けるように青い空に赤いレンガ造りの小さな駅。今度来ることがあったらストックホルムから夜行でノンビリ来るのも悪くないと思うし、ココからノルウェーのナルヴィークに抜ける車窓はことの他美しいらしいので、夏に機会があったらなぁと。

    朱色の教会もなかなか独特で、木造で一見すると何となくロシアっぽいイメージを感じるのは教会の隣にある鐘楼の形のせいだろうか?この教会はサーメのラップコータという小屋をかたどった物なのだそう。

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    ただ、この教会は外観よりもその内部に正直感動しました。中に入ると外の派手な朱色からは想像がつかないくらい荘厳な雰囲気、それは全体に落ち着いた色使いがされているだけでなく、木造であるにも関わらず天井が抜けるように高いからだと思います。本当はココでノンビリ、そしてパイプオルガンの演奏でもあれば最高だなぁと思っていたのですが、ちょうど閉館の時間が来ていたようで係員の人に 2分で追い出されてしまいました(泣)。

    キルナの歴史と未来

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    キルナは 1890年に誕生した LKAB という鉱山会社ができたことによって発展した街と言っていいわけですが、その歴史と未来にはなかなか興味深い話があるので紹介します。キルナは内陸の気候の非常に厳しい場所に位置したため、鉄道と船による輸送手段を確保することが何よりも大事でした。1903年にその北にある不凍の港町であるノルウェーのナルヴィークへの鉄道が開通したことは大きな始まりの一歩で、その後、LKAB の top management となった Hjalmar Lundbohm という人が、キルナは将来に渡って鉄鉱のみならず人口を維持するために、必要な全てのコミュニティとインフラを整えた新しいモデル都市として機能すべきだというヴィジョンを唱え、その後の街づくりの規範となったのだそうです。

    鉱山の掘削が進むにつれ、掘削した場所の周辺にクラックが入るなどして、1960年頃には小さな町が移動を余儀なくされたという過去があります。そして、今このまま掘削が進むと現在のキルナの街に同様の問題が起こることがわかっています。例えば、キルナの駅は 2012年には今の場所でその機能を果たすことができなくなることがわかっています。そこで、100年後くらいまでを考えて、「街を移動する」というプランを政治および住民が一体になって議論をし決めていくというプロセスを起こし つい 1年程前にその基本的なプランを決めたというのです。その内容を見ると実にスウェーデンの人たちらしいと感じます。

    まず、Vision 以下のようなビジョンが掲げられています。

  • Ecologically-adapted future community.
  • A modern model city built on the idea of Hjalmar Lundbohm, a city that has a preparedness to successfully meet the demands of the times, especially in questions concerning environmental adaption, new technology, energy systems and sustainability.
  • Good local climate.
  • Close residential proximity to environmental assets such as lakes and waterways.
  • A desire for clean air means avoiding known emissions zones.
  • A coherent city environment with a blend of residential area, service and work places, all well-provided with infrastructure for good access with a street system, sidewalk and bicycle zones and public transportation.
  • このビジョンの元関係各所、つまり鉱山会社である LKAB や鉄道会社、水道会社、電気会社、道路、建築会社などに住民がみなで今後どうするかというのをしっかり考えているわけです。

    スウェーデンの人たちらしいと思ったのは、まず、鉱山がスウェーデンにとって(今のところ)重要でかつキルナの住民の仕事を供給するという意味でも重要で、この移動は外部の鉄鉱石に対する需要が変わらない限り不可欠であるということを皆が誰もが納得するレベルに達しているらしいこと。また、それに必要な費用負担が既にある程度計算されていて誰が負担すべきかもきちんと議論されていること。世界に似たようなケースがなく(街を動かすのではなく既存の街へ吸収させるというケースはあるらしい)、自分達はそのモデルケースになるべく計画を立てているのだと公言していること。街の移動が決まっている状態でも、現在の街への投資を止めず、人口流出を防いでいること。鉄鉱石の需要など含め外部要因があるため、計画を着実にゆっくりと進めていることなどです。

    実は ICE HOTEL の Art Suite にあった City Movers という部屋はこの状況を示しているものだったりします。手袋をはめたサーメの女性が自分の家を自分で運んでいたり、鳥たちは街を土台ごとどこかに動かそうとしている様子が、この部屋には描かれていたわけです。この作品が示すように、キルナの人たちは、そういう未来をある意味「計画されたこと」として認識しているから誰も声高に言うわけではないのです。実は、ICE HOTEL に行くバスの中で案内をしてくれた女性が「鉱山の掘削が進み危ないので 2030年までには街を移動することになっています」とあっさり言いのけたことに驚いてこの件を調べてみたのでした。

    というわけで、もしかすると次この街に来るときには、ICE HOTEL ではないですが以前とは全く違ったキルナの街が自分を迎えてくれることになるのかもしれません。