2ヶ月前に奥さんと一緒にお墓参りで訪ねた鳥取。13回忌を行うということで一家総出で再度行くことに。現地集合ってことになっていたのと JAL のマイルがたまっていたのだけれど鳥取便の無い JAL なのでちょっと一考、一日お休みをもらって但馬を中心に小旅行もかねてみようと思ったわけ。
とりあえず車が無いと但馬空港から動くことすらできないので、それだけは手配しておいて、後は当日考えればいいやって感じで。羽田から伊丹へ向かう飛行機の中で JAL の冊子を見ていたら、JAL便のある出雲空港から入って但馬空港へと出る山陰一人旅なんて特集が組まれていて、なんて都合のいいタイミングなんだなんて思いながら読んでいると最後のページに但馬空港の近くの出石という場所が蕎麦が美味しいとあって美味そうな田舎蕎麦の写真が載っていた、「決まり、ここに行こう!」と最初の目的地が決まった。
ちなみに伊丹から但馬コウノトリ空港への飛行機はこんな感じの小さなプロペラ機。屋久島に行ったとき以来な気がする。良く見ると SAAB のもの、つまりスウェーデン製。仕事がら不思議な縁を感じてしまうのはしょうがないかな(笑)。今日は大気が不安定なようで、伊丹までのジェット機もこのプロペラ機も良く揺れた。
お目当ての蕎麦、それは冊子に載っていた天通というお店の田舎そば。まさに同じものを頼んでしまったわけだけれど、本当にこんな感じの写真が冊子に載ってたわけで美味そう。まだお昼には早い時間で誰一人いない店内。最初に「お蕎麦にどうぞ」とわさびが出された。ツンと清清しいわさびの香りが漂って眠気がちょっと覚める感じ。色の黒くしっかりした感じの田舎そばは、「最初にお塩で食べてみてください」という話なので早速。お塩が蕎麦の本来の味や香りを引き立ててくれる。わさびとネギ(関西のネギだなぁと思ったり)を入れていただいてもしっかりとした蕎麦の味が感じられてコレは美味。
出石の蕎麦は有名らしいのだけれど、有名なのは何枚かの小さなお皿でお蕎麦を供する皿そば。だけど、蕎麦の美味しい場所では、どうも田舎そばでそばらしい香りとか素朴な味を楽しみたいと思ってしまう。今回もそんな感じ。
辰鼓楼を中心とした古い町並みの残る出石。お土産の名物らしい「そば饅頭を食べていきな」とおばあちゃんが誘ってくれたりの散策、朝市なんかも出ている。真っ赤な唐辛子?を束にして魔よけとして使うんだよなんて話を客に熱心にしてたおばあちゃん。鮮やかな赤がこげ茶色の木材を使った家が並ぶ中で映える。古い酒蔵なんかも残っていてちょっとお散歩するにはなかなかいい感じの町。
出石は山名祐豊の出石城の城下町。その重臣を父に持つ沢庵和尚がいたのが宗鏡寺(すきょうじ)というお寺。この和尚、その名の通り「たくあん漬け」を考案した人だとも言われていて、出石のお土産には「出石たくあん」があったりする。お寺は街の中心から少しだけ離れていてとても静かな場所で、庭園も綺麗でなかなか風情があっていい。
但馬空港から鳥取に向かう道すがら見るべきものが無いものかと調べているときに、ふと見つけたのが今年から始まった工事でもうすぐなくなってしまうという餘部鉄橋。赤い大きな鉄橋が 2つの山を繋いで餘部の小さな町を跨いでいる風景は、まだ子供の頃だったと思うけれど、日本海からの強い風にあおられて列車がその鉄橋から落下する事故がおきた事故の時の映像で強く印象に残っていた。
この日も風が強くて、白い波しぶきを上げながら海が恐ろしいくらいに荒れていた。車を山側から走らせているとふと目の前に現れる赤い鉄橋はスゴイ存在感。列車でなくバスや車でコレを見に来る人がたくさんいるようで駐車場が用意されていて、そこから山を5分ほど登ると餘部の駅があって、さらにその少し横に撮影ポイントってのがあって、そこまで登ると鉄橋の向こうに海が見える場所があって、ここからの眺めは絶景。
もともと 13回忌が終わったら鳥取市内のシティホテルに泊まって市内のどこかで適当に夕飯を一緒にしようなんて話をされていたんだけど、それなら少し足を伸ばして温泉に宿をとってみんなでノンビリした方がいいよねって提案して採用。どこへ行くかを任せてもらったので、三朝温泉に宿を取ったのでした。
三朝温泉では温泉街に浴衣で歩く人を増やして活気を取り戻そうってことで、かつて百人以上もいたという芸者衆の生き残り(失礼!)と自称する人や、地元の有志が集まって「あたたか座」が三朝温泉の郷土芸能を夜 9時から披露するという催しがあって早速げたを履いてコロコロとお出かけ。三味線の演技や踊りとあわせて、去年自分が残念ながら見ることができなかった 投入堂のある三徳山三佛寺開山 1300年を記念した奉納行者太鼓の演舞があったりして、なかなか面白かった。「I love 入浴」の Tシャツちょっとだけ欲しいと思った(笑)。
翌日の予定をあまり立てないまま、朝はノンビリと三朝の温泉街の散歩をかねて湯めぐり。昨年の夏に泊まっていいなぁと思った旅館大橋の巌窟風呂と三朝館の大きな露天風呂を楽しんだりした後、せっかくココまで来て投入堂に登らないのもなんでしょとけしかけて(笑)、男性陣は山登りを、女性陣は三徳山三佛寺と投入堂をふもとから眺めてみようってことになり早速お出かけ。
入山手続きの場所では登山者全員の靴底をチェックして、革靴や靴底の平らな人はココで草鞋に履き替えての登山。自分達も全員草履で。自分はさすがに一度登ったことがあるので雰囲気はわかっていたけれど、さすがにみな急な岩場なんかを登っていくのに驚いていた。投入堂に至る途中にある文殊堂は、その縁を歩くことができるのだけれどトンでもなく高い場所にあるのに、柵が無くて自分以外は高所恐怖症気味で壁にへばりついて苦笑い。やはり道中にぽつんとある鐘楼も一体どうやってここ間で持ち上げてきたんだろうと思うと実に不思議、
困難を乗り越えて目の前に投入堂が現れると、やっぱり写真で見るのとは全く違った感動がある。前回来たときは工事のための足場が組まれていたこともあってちょっぴりアレだったんだけど、今回はそういうのは無し。良く目を凝らすと、投入堂の左前方の崖の庇みたいなところにでっかいスズメバチの巣ができていた。修行の人とか怖いんじゃないかなぁ。
羽田から鳥取に向かうとき、着陸のちょっと前に見えるのが鳥取砂丘と非常に綺麗な海岸線。それが浦富海岸という日本海屈指の景勝地だと知ったのはガイドブックの隅っこに紹介されていたから。一度訪ねて見たいなぁと思っていて車で海岸線を走ってみた。最初に目に飛び込んできたのは白い砂浜が美しい海岸線で、この日はサーフィンの大会をやっていたようだった。
そこから少し山を登るような感じの細い道をあがっていくと、今度は断崖の下の方に透明度が高く青い海と岩が侵食されてできたリアス式海岸の非常に美しい光景が広がって思わず車を止める。入り江の奥の方には小さな浜があって人がノンビリしていたので、どうやら下のほうに降りることができるようなのだけれど、その場所が見つからなかったので残念だけれど下へ降りるのはあきらめることにした。それにしても非常に美しい場所。
荒湯のすぐ向かいに薬師湯という共同湯があったので早速お湯をいただいてみる。青いタイルが張られた丸い湯船に無色透明の熱めの湯が注がれていて入っていると疲れと共にどばーっと汗がでる感じ。湯上りは肌がさらりとしてなかなか気持ちが良い。温泉街としても賑やかな感じだし、「新温泉町」という町にあることや温泉小学校なんて名前の学校があったりのを見ると温泉が生活の中心にあるんだなぁと感じる。
ちょうど夕陽が落ちる頃に、日本の夕陽百選に「今子浦海水浴場」って看板を見かけたのでちょっと車を停めてみた。後 5〜10分くらいで陽が落ちるかななんて思っていると、300メートルくらい先に「大引の鼻展望台」というのがあるらしいので、そこまで登ってみることにした。途中吸い込まれそうな断崖絶壁を右に見た時は妙な寒気を背筋に感じたけれど、展望台からは日本海の変化に富んだ海岸線の向こうに夕陽が落ちるさまが見られてちょっと感動。それにしても、下を見ると岩に砕けて真っ白な波しぶきを上げる海があってなんかちょっと怖い感じ。
一度訪ねてみたいと思いながらその場所柄なかなか足を伸ばすなんてことができなかった城崎温泉、ようやく(笑)。陽もとっぷり落ちた六時ごろに到着すると、道にはからころとゲタの音が響き、浴衣を着た人がたくさん狭い道を歩いていて車を進めるのがままならないくらい、なるほど人気の温泉街と言われているだけはあるなぁとちょっと嬉しくなる。
宿に荷物を置いたら早速浴衣に着替えて外湯めぐり。かなり肌寒くなってきたこの時期はそんな外湯めぐりにピッタリ。からころとゲタを鳴らしながら、すぐ隣にある「一の湯」から。まず正直驚いたのはロビーの大きさとその綺麗さ、そして外湯めぐりを迎えてくれる人が玄関を開けてくれたり、下駄は置いていってもちゃんと整理しておいてくれるなんてサービスの良さ。女性に人気がある温泉街というのは街の雰囲気だけでなくこんなところにも感じられる。
その後、「まんだら湯」、「御所の湯」、「柳湯」と 4つの外湯をはしごしてみたが、どこも同じように綺麗で素晴らしかった。一の湯の前にある飲泉所でお湯を飲んでみると塩味が効いたダシのような味がしてなんだか結構美味しい。
ぽかぽかになった身体で宿に戻ったらもう一つのお楽しみ。お世話になった山本屋は地ビール工場も経営していてそれをいただくことができるのです、やった(笑)。4種類ある地ビールからレッドエールをいただいて、ちょっとこ洒落たロビーでノンビリ。宿にも当然お風呂はあるのだけれど「外湯めぐりの文化を維持するために大きなお風呂を宿に持つことができないことになっています。ご迷惑をおかけします」なんてことが書いてあった。なるほどなぁと思う。そういえば三朝温泉の郷土演芸も、温泉街に繰り出す人を増やしたいってことだったものなぁ。こういう努力というのは重要だなと思う。
平日月曜日の朝から温泉めぐりなんてのもなかなか贅沢。小学生の子供達が登校するのを横目に自分も含めたおじさんおばさんがカラコロとゲタを鳴らしながら朝から湯めぐりをしている様がこの温泉街では日々の風景なのかなぁなんて思うとちょっと可笑しくもあり、こういう場所に暮らすことができてうらやましいとも思ったりする。朝は、城崎の駅前にある「さとの湯」から。ココはサウナが充実していてフィンランドサウナやミストサウナでノンビリ、屋上の露天風呂も朝日のまぶしさが気持ちが良かった。街の方に戻って「地蔵湯」、さらに一番古いという「鴻の湯」を巡って 7つの湯を全て巡ってみました。
「鴻の湯」のすぐそばには温泉寺というのがあって、すぐそばには城崎の元湯が。元湯のすぐ横には足湯があって朝から楽しんでいる人がちらほら。浴衣のままロープウェイにのって山の上から城崎の街並みを見るのも良いかなとも思ったのだけれど、ちょっと湯冷めしそうだったのでパス。宿に戻る途中で「御所の湯」でもう一度身体を温めてから宿に戻って出発の準備。
何にも予定を立てていなかったので、宿の中でいろいろ見ていたら近くに「玄武洞」というのがあるらしいということを知ってソレがなんだかわからないまま行ってみることにしたのだけれど、コレがビックリするような場所。柱状節理といって、六角形の柱が幾重にも重なってできた岩肌が露出した場所なんだけれど、これほどの大きさと美しさをもつものを見たのは初めて。写真は「青龍洞」と呼ばれる場所で、目の前にコレが現れたときは思わず「おお〜っ」と声を上げてしまうくらい驚いた。そのどこを見ても、どうやったらこんなものが出来上がったんだろうと不思議でしょうがない感じ。
すぐ隣にある「玄武洞」で撮った写真。こちらもその規模といい横方向に伸びている柱状節理といい何とも美しい景観。山陰地方のガイドブックには城崎温泉は載っていたような気がするけど、ここが出ていた覚えが無い。これほどのものが載っていないのはちょっと変な気がするくらい。
玄武洞にはもう少し規模は小さいけれど、「白虎洞」「北朱雀洞」「南朱雀洞」があって 30分くらいで全部を見ることができる。結構大掛かりな工事をしていたのがちょっと気がかり、洞窟の中にあるわけでも無く外にむき出しになっていることもあって、やはり侵食が激しいようで見学する場所にも落石注意って書いてあった。崩れてしまうことなく残ってくれるといいなぁと思う。
丹後半島ってその名前は知っているけど陸の孤島っていう感じのイメージがあった場所。玄武洞を出た後、丹後半島を北上して、その途中あたりから丹後半島を縦断して南に下り天橋立を見に行ってみようと思い立ち早速実行。まず驚くのが、やたらとたくさん温泉地があること。鳴き砂で有名だという写真の琴引浜までで目にしただけでも、「神野温泉」「久美浜温泉」「木津温泉」「夕日ヶ浦温泉」「鳴き砂温泉」なんて感じ。
駐車場の入り口に「今日は砂が鳴きません」とあったので引き返そうかとも思ったのだけれど、せっかく来たんだしと浜まで降りてみる。綺麗な砂浜が続いていて気持ちがいいけれど、確かに歩いたりしても砂が鳴くことは無い。砂を手にとってみてみると、細かいというよりは同じ大きさの丸い粒状になった透明な石英っぽいものとかがたくさん入った砂。しばらくそんな感じで観察していたら、遠くから「お客さんこっちこっち」と呼ぶ声、黄色い服をきた係員のおじさんが何人か浜にいた人を呼んで、波で濡れていていない場所座り込む。ふと両手で砂の山をはさみこむような動作を少し力を込めて速く行うと、砂が「きゅっきゅっ」と鳴いた。「やってみて」というので早速同じような動作をしてみると「きゅっ」と鳴った。おじさんによると、歩く時も乾いた砂の部分をこするように歩いてみると鳴きますよってことだったので、早速それも試してみるとなるほど鳴る鳴る。コレはなかなか面白い。
この琴引浜は国の天然記念物に指定されていて、全国で初の「禁煙ビーチ」なのだそう。灰などの汚れがあると鳴かなくなってしまうからだとか。
文殊菩薩の智恩寺ではしっかり智恵を授かるようにお願いしたり。立派な山門や多宝塔などがあるのだけれど、ナゼかやたらと小バエがたくさんいて参った(笑)。お腹が空いてたら、智恵の餅を食べたい感じではあったんだけど今回はパス。
但馬コウノトリ空港には YS-11 が展示されていた。航空・宇宙学科を出たってせいかな、やっぱり国産の航空機ってだけでも思わずふ〜んとぐるりと見回してみたくなってしまう。Wikipedia見たらやたらと細かく情報が載っていてちょっと驚いた。但馬空港では、もうすぐ 30万人がこの路線を利用するとかでその日がいつになるかを当てるキャンペーンと共に羽田からの直通便の開通を訴えていた。便利になるのもいいけど、観光に来る側の視点だけからすると多少の不便を楽しみながらノンビリやってくるのも悪くないなぁなんて思ったりしてます。